リーゼ・マイトナーさんの甥、オットー・フリッシュさんの自伝に出てくる科学者(77)霧箱に代わる泡箱で素粒子物学を前進させた:D・グレーザーさん

▼グレーザーさんは泡箱の発明者である。泡箱は「ウィルソンの霧箱にとって代わる」荷電粒子の観測装置。「(霧箱が)冷却された気体中の水滴の飛跡を観察する代わりに、加熱された液体中の泡の飛跡を観察」する。この泡箱の業績でグレーザーさんは1960年にノーベル物理学賞を受賞。
▼あるときビオラ奏者でもあるグレーザーさんとピアノを弾くフリッシュさんが合奏する。演奏の後、グレーザーさんがフリッシュさんに「泡箱で撮った写真の解析に1時間かかっている。研究のボトルネックだ。素早い飛跡の解析方法の早急な開発が必要」と語る。この話をきいたフリッシュさんは「飛跡解析装置の開発は、まさに私の心にかなう挑戦」(p.266)となる。結果、スイープニクという名称の装置が完成。製造販売会社を作り、フリッシュさんは会長に就任することになる。

ドナルド・グレーザー Donald Glaser 1926-2013
1926年、オハイオ州クリーヴランド生まれ。ロシア系ユダヤ人。父はビジネスマン。
教育
音楽好きでピアノ、バイオリン、ビオラを演奏。
クリーヴランドのハイツ高校で学ぶ。物理学に興味。
1939年(13才)WWII
1945年(19才)WWII終戦
1946年(20才)ケース・ウェスタン・リザーブ大学で学士(物理学と数学)。素粒子物理学に興味。クリーヴランドオーストラリアでビオラ奏者
1949年(23才)ミシガン大学で講師。
1950年(24才)カリフォルニア工科大学でPh.D.(物理学)。指導教員は Carl David Andersonさん。霧箱を使った宇宙線の実験。
活動
1957年(31才)ミシガン大学で教授。泡箱の開発。
1959年(33才)カリフォルニア大学バークレー校で教授(物理学)。
1960年(34才)ノーベル物理学賞(泡箱の発明)
1964年(38才)カリフォルニア大学バークレー校で教授(物理学と分子生物学)。
1989年(63才)カリフォルニア大学バークレー校大学院で教授(物理学と神経生物学)。
2013年(87才)バークレーで死去。

▼師匠・弟子・関係筋
師匠
□ カール・デイヴィッド・アンダーソン Carl David Anderson 1905–1991 1936年にノーベル物理学賞を受賞したアメリカの物理学者。
関係筋
■ オットー・フリッシュ Otto Frisch 1904-1979

※オットー・フリッシュ著 松田文夫訳 「何と少ししか覚えていないことだろう-原子と戦争の時代を生きて-」 吉岡書店、2003年。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC
https://en.wikipedia.org/wiki/Donald_A._Glaser