リーゼ・マイトナーさんの甥、オットー・フリッシュさんの自伝に出てくる科学者(64)原子核を形作る新メンバーを予測:湯川秀樹さん

▼ローレンスさん、リビングストンさんが発明したサイクロトロンがどんどん強化され原子核の研究が進んだ。すると新しい粒子が確認された。
▼フリッシュさんの自伝では「この発見は、それほど思いがけないものではなかった。早くも1935年に、日本の理論物理学者の湯川秀樹は、光子が電磁気力に関連する量子であるように、核力に関連する量子があるはずだと予言していた」(p.230)
▼「本物の湯川メゾンは、現在ではパイメゾンまたは短くパイオンと呼ばれており(中略)、湯川の予想に近い質量を持つことが明らかになった」(p.230)
▼フリッシュさんの自伝で湯川さんが登場する章では、理論物理学と実験物理学の進展のおかげで原子核を構成する新たな顔ぶれが増える様子が述べられる。おなじみの古典的な原子モデルは、原子核は、陽子と中性子、その周りを電子が回転しているというものだ。そこから次の一歩二歩と進む話だ。
▼理解が難しいので、方向を変え、難しい理由を考えてみた。すぐ出てくる理由は次だ。
・これ以上分けられない素と思っていた電子と陽子が、サイクロトロンの威力でどんどん分けられ、ぜんぜん素じゃなくなった~それは良いとして、電子と陽子に変わる新しいモデルがイメージしにくい点。
・固定的に捉えられない点、なんというか、ひょうたんでナマズを捉える的なところ~状態が変わる(例、エネルギーが高くなる)と振る舞いが変わり、それまでなかった現象が起こる。
・線香花火で飛び出た火が一瞬複雑な振る舞いをするのを捉えるような難しさ~「パイオンは放射性であり、数ナノ秒でミュオンに変わる。ミュオンもまた放射性であり、平均寿命2マイクロ秒で破裂して電子と二個のニュートロンに変わる」(p.231)
・あと、名前がいっぱい出てきて混乱する。
・そもそも、素なんて、あるのだろうか。人間の測定・観察で小さいとか大きいとか言ってるだけで、果てしないのではないだろうか。

湯川秀樹 Yukawa Hideki 1907-1981
1907年、六本木生まれ。父・小川琢治は地質学者。
教育
1908年(1才)父が京都帝国大学の教授になったので一家で京都に転居。
1914年(7才)WWI
1918年(11才)WWI終戦
1919年(12才)京極尋常小学校卒業。京都府立京都第一中学校入学。
1929年(22才)京都帝国大学理学部物理学科卒業。玉城嘉十郎研究室で副手。
1932年(25才)結婚、湯川家の婿養子。小川から湯川に姓が変わる。京都帝国大学で講師。
1933年(26才)大阪帝国大学でも講師(兼任)。
1934年(27才)中間子理論を発表。
1935年(28才) 「素粒子の相互作用について」を発表。中間子の存在を予言。
1938年(31才)大阪帝国大学で博士(理学)。「On the interaction of elementary particles(素粒子の相互作用に就て)」
活動
1939年(32才)京都帝国大学で教授。WWII
1942年(35才)東京帝国大学理学部で教授。
1943年(36才)文化勲章受章(最年少)。
1945年(38才)WWII終戦
1946年(39才)帝国学士院会員。
1948年(41才)IASプリンストン高等研究所で客員教授。
1949年(42才)コロンビア大学で客員教授。ノーベル物理学賞受賞(陽子と中性子との間に作用する核力を媒介するものとして中間子の存在を予想)。
1955年(48才)日本物理学会会長(1956年まで)。ラッセル=アインシュタイン宣言に署名。
1956年(49才)原子力委員会委員(1957年まで)。
1958年(51才)原子力委員会参与。
1963年(56才)ロンドン王立協会外国人会員。
1970年(63才)京都大学退任、名誉教授。
1981年(74才)京都で死去。

▼師匠・弟子・関係筋
師匠
□ 八木 秀次 1886-1976 電気工学者。八木アンテナの発明者。
□ 岡 潔 1901-1978 数学者。
関係筋
■ アルベルト・アインシュタイン Albert Einstein 1879-1955
■ マックス・ボルン Max Born 1882-1970
■ ニールス・ボーア Niels Bohr 1885-1962
■ ヴェルナー・ハイゼンベルク Werner Heisenberg 1901-1976
□ 朝永 振一郎 1906-1979 物理学者。同期。

※オットー・フリッシュ著 松田文夫訳 「何と少ししか覚えていないことだろう-原子と戦争の時代を生きて-」 吉岡書店、2003年。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B9%AF%E5%B7%9D%E7%A7%80%E6%A8%B9